AKB48総選挙狂騒曲〜神と信者と『背信者』たち〜

 えー相変わらず旬を逃したネタで恐縮なのですが、先ごろ行われた「AKB48総選挙2011」ご覧になられましたでしょうか。

 この質問に対する反応としてはおおまかに分けて、


1.もちろん見たよ!もはや国民的行事!ゆきりんの躍進が…ともちんの落胆ぶりが…(以下5時間略)
2.ああ、やってたね。前田さんて子が1位なんでしょ。それ以上は知らんけど。
3.見てないよ!興味ないよ!てかその話ばかりでうざい!


の三派に分かれるようです。便宜上「1」を信者、「2」を中立派、「3」をアンチとざっくり分類分けしてしまいますので以下の文章はそんな感じでお読みください。

 例えば、「3」に属するやくみつる氏のこの発言↓

「擬似世界にハマる若者に警告、現実に戻れ」だそうです。言っときますがこの人本職漫画家さんです(苦笑)。翌日舌の根も乾かないうちに「こじはる推し」とか言ってたらしいですが。

 …かと思えば、同じ漫画家でも小林よしのり氏なんか、いかにも「3」に所属してそうですが↓

昨日、AKB48の総選挙を見に、武道館に行ってきました。いやあ、感動した。一瞬たりとも目を離すことはできなかった。こんな充実感は、かつて猪木・藤波・長州らが次々にドラマを生み出していた新日本プロレス以来のことです。アイドルで国民を巻き込む選挙をやるという、少女たちにはあまりにも過酷なエンターティンメントを生み出した秋元康は本当にすごい。AKB48を育てたオタクたちにも敬意を表したい。(後略)

https://www.gosen-dojo.com/index.php?action=pages_view_main&active_action=journal_view_main_detail&post_id=475&comment_flag=1&block_id=13#_13
こんなこと言ってます。全然ゴーマンかましてません。この人は「1」ですね。
  その他にも、プロアクティブでおなじみJリーガーの柏木陽介選手が武道館まで足を運んでいたり、参議院議員三原じゅん子氏が「政治家全員がAKBを見習って国民目線を大切にすべき」と発言したり、俳優の伊藤英明氏なんかも劇場に通いつめる熱心なファンだという噂だったりと、意外な人が色んな形で今回の総選挙に注目していたようです。
 この様子を中継した「なるほど!ハイスクール」という番組では途中で中継をブチブチ切ったり最終的な投票結果まで中継しなかったことに対し苦情電話が殺到したそうです。号外まで出たそうで、ファン以外から見れば「そこまでせんでも」といった感は否めませんね。


 かくいうこの私はといいますと、そこそこ詳しい方の「2」あたりに所属しております。去年の今ごろは柏木由紀さんて方も知らなかったのですが、そこはドルオタの血。今は1位から20位ぐらいまでは全員顔と名前が一致するぐらいにはなりました。けどCDやDVDは一枚も持ってない、でも篠田麻里子はかわいい、てな感じです。そんな立ち位置のゆるーい中立派から見た今回の総選挙についてひとくさり語ってみようかなという今回の更新です。

 ちなみに「2」や「3」の方へ。今回の順位はこんな感じでした↓
 文中の人物を確認する際ご覧下さい。


 今回の選挙で2位に選ばれた大島優子さんの順位発表後の発言が特に「3」の層の間で物議を醸したようです。

三者はいろんなことを言います。「この票数、ひとり何枚も買って本当に総選挙と言えるの?」「選挙はひとり1票じゃないの?」ですが、私たちにとって票数というのは皆さんの愛です。(中略)たくさんの愛をありがとうございました。

 第三者の「〜なの?」という2つの質問に対する回答が「たくさんの愛」だというのが表現として適切なのかどうか、という点に引っかかってるわけですね。票がお金で買えるシステムが疑問視されてるところに、愛というすり替え表現を使って美談に仕立て上げようとしている、これホストクラブの常套手段と同じやないか、と。
 いやファンの方怒んないで!これ僕が考えたわけじゃないですよ!匿名掲示板の書き込みとかですね、例えばこういう人とかが言ってるんですよ!↓

 笑いでくるんで語ってますがかなりきわどいとこまで踏み込んでますね。まぁ週刊誌が適当なこと書くことは岡村氏もよくわかってるでしょうし、タレがうんぬんみたいなことはさすがに今はないというのが本音でしょう。むしろそうやって当て推量だけのゴシップ記事やそれを鵜呑みにするネット住民達を挑発している節さえ感じます。にしても闘病明けなのに相変わらずのチャレンジスピリット、さすがですね。(余談ですがめちゃイケでAKB出てましたね以前。「僕はブログもツイッターもやってないから炎上しない」と発言してますが、今後両者が仕事で共演する際、若干気まずい空気になりそうな予感はしますw)

 CDをファン一人一人に何千枚も買わせてどうだ130万枚売ったぞ、オリコン年間1位だぞ、ってやり方はどうなの?というのは僕もうすうす感じていました。そこらへんは岡村はじめ数多くの方が指摘するように疑問視されるべき点で、CDがビックリマンチョコのウェハースのような(例えが古いな)扱いを受けることに対する違和感と抵抗感は感じます。

 そんな中、ある方のTogetter(twitter内のある特定の話題についてまとめたもの)でこの問題点をある程度納得させてくれたものがあったので、ひとつ紹介します。

【アイドルでありながらファンにタニマチ的な特権を与えたぱすぽ☆は新しく有りながら実は古い手法を応用している】
http://togetter.com/li/136093

 AKBではなく「ぱすぽ☆」というアイドルについて言及した文章なのですが、要は日本の歌謡界において「後援会」「タニマチ」制度のようなものはそれこそ数十年に渡って確立されてきたものであり、決して最近のアイドルグループだけがいわゆる「買い支え」的な行為をファンに強いてきたわけではない、ということなんですね。

 
 選挙当日のツイッターもこの話題一色で、それこそ「1」「2」「3」それぞれの立場から色んな意見が飛び交ったわけですが、その中で特に気になるツイートがしつこく僕のタイムラインに流れてきました。

「AKBより断然Perfumeという人は公式RT」

 以前このブログにも書いたのですが、僕は「〜な人はRT」ってやつに参加しないのでこれもスルーなのですが、それよりまずこの考え方自体が嫌いなのですね。本当のファンならまず「嫌いなものや興味ないものとは比較しない」のが正しいあり方なはずじゃないですか。Perfumeファンなら必読必携の書である「Quick Japan 74号」の中で、あるライターの『Complete Best』CDレビューでこんな文章があります。

最初に「アーティスト」を名乗った「アイドル」は誰だ。適当な歌詞を使いまわして「アーティスト」とは笑わせる。浜崎あゆみのCDに『中古』と書いたレッテルを貼ろうぜ。

 この文章が本当に大っ嫌いで、それ以来僕はこの人が書くコラムが好きになれないんですね。まぁこの雑誌その後AKBについても特集してますし、この人の考え方もその後変わったのかも知れませんが。(「Quick Japan」という雑誌のコラムニスト全般が自分たちの先見性の鋭さと分析力を大上段から語っているようであまり好きではないのですが、取り上げる記事自体は興味深いものばかりなので毎回困ってしまいます)


 まぁベストアルバムのタイトルが「神曲たち」であったり、人気メンバーを「神セブン」(上記選挙結果から3位柏木さんを抜いて8位板野さんを入れた上位7人らしいです)と称したりするのは外部から見て若干鼻白んでしまう感もなくはないですが。大切にすべきファンが「信者」扱いされるのはどうなんかなぁとか。それでウィンウィンならまぁ良好な関係なんでしょう。

 つまりあれですよ。「みんな違ってみんないい」これが言いたいんです僕は。結構な話じゃないですか、CDを何千枚買ったって。その金を義捐金に回したらどうかなんて声も耳にしますが、それとこれとは別問題。お金がきちんと世の中をグルグル回ることだって今の日本には大切なわけで、各人使いたいものにじゃんじゃん使えばいいじゃないですか。自分の金ってわけじゃないんだし。まぁその大半が秋元康の懐に入ることを想像すると腑に落ちない部分もありますが。


 「是・非」 「白・黒」 「善・悪」 「勝・負」
 とかく二元論で分類されがちなこの世の中。「アンチ」の方々が少し「中立」に歩み寄る感じで、「信者」は「アンチ」への過剰反応をなくす形で、世の中を俯瞰で眺め、なんかギスギスした窮屈な現代日本の空気を緩和できたらいいのになぁと思います。


 うーんなかなか文章がまとまらん…。加筆訂正も沢山ありそう。そんな時はおなじみ他人の名言拝借でお茶を濁しておきます。

「いろんな人がいて いろんなことを言うよ 『お金が全てだぜ』と 言い切れたならきっと迷いも失せる」(キリンジ『Drifter』)